中庭を眺めるL字型リビングで、自然を身近に感じる暮らし

押しのないゼロスタイルの姿勢に安心
ウッド調のフェンスに囲まれた、プライベート感ある庭を望むLDK。
住宅密集地ですが、庭に面した窓のカーテンを開け放っておいても、人目は気になりません。
庭の一角にはシャラの木が植えられており、キッチンからもリビングからも季節によって表情を変える木を眺められます。取材に訪れたのは8月の雨の日でしたが、雨に濡れた緑はいっそう生き生きとして見えました。
新潟市東区山木戸に立つA邸は、ご夫婦と1歳になる娘さん、奥様のお母様の4人家族で暮らす家。
2016年に結婚したAさんご夫婦は、当時古町にあった奥様の実家で暮らし始めたそうです。
「築40年になる家は古くて狭かったです。昔の家なので、夏は暑く冬は寒かったですし、敷地内に駐車場がなかったので3台分の月極駐車場を借りて料金を支払う必要がありました。それで、別な場所に土地を買って家を建てようと考え始めたんです」と奥様。
住宅情報誌に掲載されていたゼロスタイルの家が目に留まり、2017年の年末に内野西で開かれた見学会にご夫婦とお母様の3人で足を運んだといいます。
「家づくりを検討し始めて最初に行った見学会でしたが、すごく雰囲気がかわいい家でした」と奥様。
ご主人は「笹川さんが全然押してくる感じがなくて安心しました。『気になっている会社があるなら見た方がいいですよ』とアドバイスも頂き他の会社も見に行ったんですが、やっぱりゼロスタイルさんがいいなと思いました」と当時を振り返ります。
家づくりで重要な知識を教えてもらう
後日、笹川さんに連絡をして改めてゼロスタイルを訪問すると、笹川さんから、家を建てる上で知っておいた方がいい基本的な知識をレクチャーしてもらったそうです。
「主に費用の考え方や土地選びのポイントについてお話しをさせて頂きました。最初にお金の話をすると嫌われるかなあ…と思いつつも、土地代と工事費だけでなく、諸費用などを含めて家づくりにはどんなお金がいつ掛かってくるかを最初に知っておいた方がいいからです」とチーフの笹川雅樹さん。
その後、Aさん一家は笹川さんと一緒に土地を探すところからスタートしました。
奥様の職場は古町、ご主人の職場は阿賀野市。互いに通勤がしやすいように、東区や江南区旧横越町エリアで土地を探したそうです。「自分たちでも探していましたが、知識がないので気になった土地は笹川さんに相談をしながら一緒に検討をしていきました」と奥様。
そうして2018年の春に購入を決めたのが、笹川さんが提案をした新潟市東区山木戸の53坪の土地でした。住宅密集地ですが、角地であり、交通量が少なく落ち着いた雰囲気が決め手となりました。
ご主人の釣り道具も格納できるシューズクローク
Aさん家族の要望として、車3台が止められる駐車スペース、プライバシーが守られた庭、1階にお母様の和室を設けることが挙げられました。笹川さんがその要望をくみ取り、ゼロスタイルの設計担当が提案をしたのは、L字型の平面を持つ住まい。
そこにオーク材のフローリングや質感のいいタイル、造作家具などを組み合わせて、ゼロスタイルらしいモダンで温かみのある空間が完成しました。
まず、玄関ドアを開けるとネイビーのタイル壁が目に飛び込んできます。
ツヤを抑えたシックなタイルは、床のオーク材との相性も◎。
玄関の左側はシューズクロークで、奥には下駄箱とハンガーパイプが設けられ、手前はご主人の趣味である釣り道具を置くスペースになっています。
壁には専用の釣り竿ラックが取り付けられていますが、OSBの壁との相性を考え、黒く塗装した上で設置をするなど、笹川さんの細やかな配慮が見られます。
「週に2回くらいは海や川に釣りに出掛けています」というご主人は、阿賀野川河口でのシーバス釣りや、海釣りを楽しんでいるそうです。釣ってきたアジやメバルを自らさばいて、夕食の刺し身にすることもあるのだとか。
玄関から正面に進むと、右奥に配されているのは洗面スペース。帰宅後すぐに手洗いができる設計です。
その後ろにあるのは横幅がゆったりと取られたトイレ。
モルタル調のクッションフロアに栗のフローリング壁が組み合わせられており、カフェのような落ち着ける空間となっています。
一目惚れしたペンダントライトに似合う空間を
床と同じオーク材でつくったオーダーメイドのドアを開ければ、そこは20畳のLDK。
手前には8畳のリビングがあり、その奥に12畳のダイニング・キッチンが見えます。
壁際に置かれているのはアップライトピアノ。保育士である奥様にとって家でのピアノ練習が欠かせません。
玄関側の壁はブルーグレーの塗り壁仕上げで、コーナーにはスチールとクリアガラスが組み合わせられたかわいらしい星形のペンダントライトが下がっています。
「ゼロスタイルさんの家づくりの相談窓口『イエのコト』でこの照明を見つけて、『これを使いたい!』と思いました。そこからインテリアを考え始めましたね」と奥様。照明のスイッチを入れると、美しい陰影が塗り壁にパッと映し出されました。
階段側の壁は白く塗装したパイン材仕上げで、下部は家の形に切り欠いた小さな空間。
ここは愛犬の柴犬の寝床で、階段下のデッドスペースが上手に活用されています。
ソファの後ろの掃き出し窓越しには庭が眺められ、日々自然の潤いを感じながら過ごせるのもポイントです。
オークの床に調和するキッチンと造作家具
約12畳のダイニング・キッチンは、一直線に空間が伸びており、キッチンに立てば正面の窓から庭を眺めることができます。
キッチンは床と同じオークの天然木で仕上げられたウッドワン社のスイージーを採用。背面のカップボードも同じシリーズの製品を使っていますが、造作家具のように空間に馴染んでいます。
キッチン前のパネルは表情あふれるランダムな突板仕上げ。ユニークな面材ですが、全体のトーンと調和しており、程よいアクセントになっています。
ダイニングの後ろは造作のパソコンデスク。その上の棚は無印良品の収納ケースの寸法に合わせて高さが決められており、無印のカゴやファイルボックスがぴったりと納まっています。
さまざまな素材を使いながらも、バランスよくコーディネートされたインテリア。「打ち合わせでは笹川さんが私の好きな雰囲気を察して、選択肢をある程度絞ってご提案を頂きました」と奥様。それにより、迷子になることなく理想とする空間を実現できたといいます。
必要な部屋と機能をまとめた2階
2階には、物干しスペースと2つの子ども部屋、寝室が並んでいます。
5畳の子ども部屋は、造作のデスクとオープンなクローゼットが付いたシンプルな空間。
奥の寝室は10畳の内の約3分の1を収納とし、7畳分を寝室としています。壁にはちょっとした小物を置けるニッチを設けるなど、ディテールにもこだわりが見られます。
あくまで1階で過ごすことを中心に考えており、2階は必要最小限にまとめて全体のコストバランスを取っているのも特徴です。
家事が楽しくなる、お気に入りの住まい
2019年の4月に家が完成し、それから1年3カ月が経過しました。
「この家に住み始めてすぐに産休・育休に入ったので、長い時間を家で過ごすことができました。好きなものに囲まれて過ごせるのがすごくいいですね。キッチンもゆとりがあるので、2人で一緒に作業をするのもラクにできます。前は家事自体があまり好きじゃなかったんですが、この家に住んでから家事が好きになりました」と満足そうに奥様は話します。
「中庭では、プールを出して子どもを入れて遊んだり、シャボン玉をしたりしています。あと、ゴールデンウィークにトマトを3株植えたんですが、食べ切れないくらいに採れました。来年は大葉など他の野菜も育ててみたいですね」とご主人。
冬はリビングのエアコン1台で快適に過ごすことができ、夏は通風を考えて配された窓のおかげで風がよく抜けるといいます。「中庭があるおかげで、カーテンや窓を開けて開放的に過ごせるのもいいですね」(奥様)。
木をふんだんに使った空間に、庭を取り込む暮らし。性能や機能のバランスもいい住まいが、心地いい毎日を叶えてくれます。
取材/Daily Lives Niigata 鈴木亮平